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後見人が受け取る報酬額

ご本人の判断能力が不十分になった場合などに、後見人を選任してもらうためには、親族や市町村長などによる、本人の住所地の管轄する家庭裁判所への申立てが必要です。

申立ての動機

ところで、後見人を選任しようとする場合、具体的にはどのような申立理由(申立てのきっかけ)が多いと思われるでしょうか。

最高裁判所の資料(※)によると、ここ数年、申立理由の2位以下には若干の順位変動があるものの、第1位は、次のとおり、2位の件数を2倍以上引き離して、「預貯金等の管理・解約」が主な申立理由となっています。

申立ての動機

  1. 預貯金等の管理・解約
  2. 身上監護
  3. 介護保険契約(施設入所等のため)
  4. 不動産の処分
  5. 相続手続
  6. 保険金受取
  7. 訴訟手続等

(注)1.主な申立理由は申立て1件につき複数ある場合がある。
2.後見及び任意後見のほか、保佐及び補助に関する件数を含む。
出典)成年後見関係事件の概況-平成28年1月~12月-
 

前もって準備を行うことができていたとみられる「任意後見」を除けば、つまり「法定後見」の場合は、本人やその親族にとって、図らずも又は止むを得ずに必要となったため、後見人を付すことになることも多いものと考えらえます。

また、成年後見の業務は多い上、後見人の負担は重くなりがちと言われています。
弁護士や司法書士などの専門職ならまだしも、事務の手続きに慣れていない方が担われるのであれば尚更です。

後見人が受け取る報酬額

そういった中、後見人が受け取る報酬についてお知りになりたい方もいらっしゃるでしょうから、今回調べてみました。

まず、後見制度のうち、任意後見制度(任意後見人)にあっては当初の契約で決めておいた報酬額を受け取ることとなります。業務内容や本人(被後見人)の財務などを踏まえれば、両者間で自ずと妥当な金額は出てくるものと考えています。

一方で、法定後見制度(後見人等)にあっては、申立て(報酬付与の申立て)があったときに家庭裁判所の審判で決定されます。保佐人、補助人などについても同様とされています。

民法(明治29年法律第89号)

(後見人の報酬)
第862条 家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。
 

報酬額のめやす

しかし、報酬額や、その基準については法令で定められていませんが、裁判所によると、後見等の事務内容や、成年後見人等が管理する被後見人等の財産等を総合的に考慮して、ケースごとに適正妥当な金額を算定している旨説明しています。

その上で、鹿児島家庭裁判所では、これまでの審判例等、実務の算定実例を踏まえた標準的な報酬額のめやすを、次のとおり示しています。

基本報酬

成年後見人が通常の後見事務を行った場合の報酬(以下「基本報酬」といいます。)のめやすとなる額:月額1万円~2万円

ただし、管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)が高額な場合には、財産管理事務が煩雑、困難になる場合が多いので、

  • 管理財産額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合の基本報酬額:月額3万円~4万円
  • 管理財産額が5,000万円を超える場合の基本報酬額:月額5万円程度

なお、保佐人、補助人も同様としています。

付加報酬

  • 成年後見人等の後見等事務で、身上監護等に特別困難な事情があった場合:上記基本報酬額の50パーセントの範囲内で相当額の報酬を付加すること
  • 成年後見人等が、例えば、報酬付与申立事情説明書に記載されているような特別の行為をした場合:相当額の報酬を付加することがあること

引用資料)成年後見等の報酬額のめやす(平成29年1月、鹿児島家庭裁判所)
 

大切な成年後見人の仕事

成年後見人の役割は、本人(被後見人)の意思を尊重し、かつ本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら、本人に代わって、財産を管理したり必要な契約を結んだりすることによって、本人を保護・支援することです。

また、その仕事としては、食事の世話や実際の介護などは含まれておらず、あくまでも本人の財産管理や契約などの法律行為に関するものとされています。

具体的には、本人の財産目録の作成、本人の現預金を管理するとともに収支の記録、必要があれば本人に代わって契約の締結、そして後見人として取り組んだ仕事(実績)の家庭裁判所への報告など、責任は重大です。

しかも、成年後見人が辞任するには原則、正当な理由があった上での家庭裁判所の許可が必要です。

本人の病気などが回復し判断能力を取り戻したり、亡くなるまでの間、成年後見人としての仕事は継続します。

例えば、保険金の受領や遺産分割等、申立てのきっかけとなった当初の目的・理由を果たしたら、後見人の役目が終わりということではないのです。

本人(被後見人)の財務状況などへの配慮は当然必要ですが、一方で大事な役目を引き受けてもらう成年後見人の仕事にできるだけ報いた報酬額であることも、かえって本人のためになるのではないでしょうか。

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